童話「コロボックルの笛」がキルト作品になりました
先代の父・道俊が描いてきた小人の絵と、物語をあわせた童話本「コロボックルの笛」を、東京都あきる野市の女性15名によってキルト作品にしていただきました。
絵本の中の楽譜がご縁で制作していただき、キルトの独特な優しさが溢れる素敵な作品にしていただきました。
現在この作品を待合室に飾っております。機会がありましたら、ぜひ見に来ていただきたいです。
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日常診療と山間地の出張診療を続け、生涯地域医療に正面から向き合った故小松道俊さん(1940~2013年)が、生前に書き残した物語と絵による童話本「コロボックルの笛」が、東京都あきる野市の女性15人によってキルト作品になった。小松さんとキルト作家は面識がなかったが、小松さんが40代半ばで作詞した合唱曲が結んだ縁。作品は小松さんの長男小松佳道さん=諏訪市、諏訪豊田診療所長=ら遺族に贈られ、診療所待合室に展示した。訪れた人たちは手仕事ならではの温もりに触れ、縫い上げたもう一つの世界を楽しみ、小松さんをしのんでいる。
童話の原稿や絵は、小松さんの妻の孝子さん、長女の由貴さんらが遺品を整理していた時、机の引き出しや本の間で見つけた。小松さんが心安らかな時に浮かんでくるという小人の「コロボックル」が、メモ紙や画用紙に鉛筆、ペン、水彩、油彩で描かれていた。
4年前小松家は、小松さん作詞、遠藤雅夫さん作曲の合唱曲「この道を行けば」の楽譜を含め、A4判64ページの童話本として発刊した。地域の人たちから「『諏訪の赤ひげ先生』を物語る」と大きな反響を呼び、増刷に至った。このうちの1冊が遠藤さんの友人、声楽家の川村敬一さんに渡り、川村さんはキルト作家の白野美津子さんに紹介した。白野さんは「最初のページ、八ケ岳と諏訪湖の絵と文章がスーと心に入り、キルト作品にしたい思いを強くした」。
白野さんは主宰するキルトハウスの仲間に、絵本をキルトで表現することを提案。初挑戦の仲間も、「絵の雰囲気を大切に、次第にわくわく感を持って進めた」。A4サイズ16枚の共同作品が完成すると5月にはキルトハウスの展覧会で披露、話題作となった。
寄贈を縁に諏訪を訪れた白野さんは、「小松家とのつながりは、キルトにしたい思いを話したのがきっかけ。いつも好意的で道俊先生の優しさがご家族からも伝わってきた。ふさわしい所に置いてもらえてうれしい」。
小松家は「大作をいただき驚いた。患者さんの中には歓声を上げたり、絵本と見比べたり、近づいて時間を掛けて見入っている人もいる。先代の話をしてもらう機会にもなっている」と、あらためて人の縁に感謝している。
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メモ 小松道俊さん 母校の岩手医科大学で講師を務めていた時、父親の卓郎さんが他界。「古里の人たちのために」という父親の遺志を継ぎ、40年にわたって諏訪市の諏訪豊田診療所長、同市の湖南診療所長を務め、西山山間部、富士見町栗生の出張診療も継続。諏訪地区小児夜間急病センターの開設や諏訪赤十字看護専門学校の存続活動、地域防災、消防団活動にも尽力した。